Be Good Boys / PEOPLE

佐藤 秀明/50s' Pickup Truck

 アメリカ人にとって西海岸と言えば、東から西へフロンティアを広げて行って、行き着いた所だ。アメリカのイノベーション、あるいは文化の多くは、東海岸で生まれて、西海岸で大衆化するといった傾向がある。

 つまり新しいアメリカの文化は西海岸で生まれると言っても言い過ぎではなく、東海岸ではでは捨てられてしまうようなおんぼろ車も、西海岸へ持って来ると風景の一部としてかっこ良く蘇って新しいひとつの風景を作り出した。そんなアメリカンランドスケープの中のフィフティーズ、それは僕にとっては永遠の憧れなのだ。

 特にアイダホの田舎では何処までも続くジャガイモ畑の中をトコトコと走る古いピックアップトラックによく出会った。当時、北カルフォルニアからアイダホにかけての田園地帯で盛んに使われていたことを思い出す。

 細い田舎道をドライブしていた時、前方をジャガイモを荷台一杯に積んだピックアップトラックがのんびり走っていた。追いついてしまった僕はしばらくトラックと風景を楽しむためにスピードを落として後に続いた。しばらく走った所で運転席から腕が出て、「追い越せ」と合図してるので追い越したのだが、バックミラーに映る幾重にも起伏して重なる田舎道を見え隠れしながら遠ざかって行くだんごのように丸いフロントのシボレーは今でも忘れられない。

 そんな風景や車をせっせと撮っていて良かったと思っている。ボクにとってとても幸せな時代だった。最近はすっかり古い車に遭遇する事もなくなった。出会うとしたらゴーストタウンなどに捨てられた錆びた車くらいになってしまったのが寂しい。

佐藤 秀明

1943年新潟生まれ。日本大学 芸術学部 写真学科卒業後渡米。1970年代アメリカの中西部や西海岸、ハワイのサーフィンを撮影。1984年~1987年風間深志のエヴェレスト、北極点遠征の記録を撮る。以後辺境の旅を続けて現在は日本の限界集落などを撮影中。主な写真集に「海まで100マイル・片岡義男と共著」「REQUIEM WORLD TRADE CENTER」「雨のくに」「天空回廊・夢枕獏と共著」「地球極限の町」「路地の記憶・阿久悠と共著」他多数、日本写真家協会会員。

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