Be Good Boys / PEOPLE

佐藤 秀明/Car of Americana

 アメリカの西海岸文化がトレンディーだった1970~1980年代は雑誌の仕事でいつもハワイや西海岸にいたような気がする。それほど需要が多くウエストコーストを扱う雑誌が溢れていた。その頃は町から町、カントリーサイドから町へ、車を走らせていると懐かしい1950年代のアメリカの風景がまだまだ残っていた。

 ロードサイドのダイナーでは古くさいジュークボックスや体重計がまだ健在だったし、すすけた窓ガラス越しから走り去って行く50年代の錆びたデソートが見えたりした。今では映画の中でしか存在しないそんな風景がいたる所にあった。

 決して早く走るためにだけ作られたというデザインではなく、車を持つ事の夢と、アメリカの国力を大いに感じさせてくれた。とくに砂漠のような殺伐とした冷たい風景の中で出会う車は、なぜか暖かいアメリカ人の豊かな暮らしを思い起こさせてくれもした。

 時たま、ハイウエイをひた走るそんな車に出会うと夢中になって写真を撮ったものだが、車の経て来た過去に思いをはせるたりもする。人の手から手、旅から旅を重ねて疲れ果てた車もあれば、思いやりのある持ち主に出会って輝きを増した車もある。車は持ち主の人生そのものなのだ。

佐藤 秀明

1943年新潟生まれ。日本大学 芸術学部 写真学科卒業後渡米。1970年代アメリカの中西部や西海岸、ハワイのサーフィンを撮影。1984年~1987年風間深志のエヴェレスト、北極点遠征の記録を撮る。以後辺境の旅を続けて現在は日本の限界集落などを撮影中。主な写真集に「海まで100マイル・片岡義男と共著」「REQUIEM WORLD TRADE CENTER」「雨のくに」「天空回廊・夢枕獏と共著」「地球極限の町」「路地の記憶・阿久悠と共著」他多数、日本写真家協会会員。

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