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Ryuichi Oshimoto/El Capitan

El Capitan
 アップル社のMac用OSで新しくリリースされた“OS X El Capitan”で最近その名を知った人もいるかもしれないが、エル・キャピタンはシエラネバダ山脈の西麓に広がり、岩山、森、湖などが美しい面積3081km2のヨセミテ国立公園内にある花崗岩の一枚岩だ。ヨセミテは1864年に州立公園に、1890年には国立公園に指定され、1984年には世界遺産に登録された。車でサンフランシスコからは約3時間半、ロサンゼルスからは約6時間、カリフォルニア州内で1、2を争う観光スポット。夏は多くの観光客が世界中から押し寄せて来て宿泊場所を確保するのにも一苦労する。僕は雑音から逃れて渓谷の風景に溶け込みたいから、人の少ない時季にしかヨセミテには行かない。
 12月のこの日、朝の冷え込みは容赦なかったけど、昼になると手袋無しでも行動できるほど気温が上がってくれた。僕は渓谷内をかなりアクティブに動き回ったが、結局エル・キャピタン周辺にいることが多かった。花崗岩の一枚岩としては世界最大で、渓谷の谷床から約1000mもの高さがある巨岩は、岩山と言った方が僕にはしっくりくる。岩山、エル・キャピタンは、高く昇った太陽の光をフルに受け、眩しくてサングラス無しでは5秒も直視できない。冬の午後、陽が西へ移動して見る見るうちに沈んでゆき、気がつくと渓谷はエル・キャピタン以外は暗闇で、昼と夜が同居しているんじゃないか?と思うぐらいのコントラストの強い光景が目の前に広がっていた。 早朝、ヨセミテ渓谷を眺めるポイントとして有名なトンネル・ビューで日の出を待っていたら、最初に朝日を受けて一日の始まりを感じさせたのはエル・キャピタン。暗くなった夕方のヨセミテ渓谷で、最後の最後まで自分の存在感を誇らしげに示していたのもエル・キャピタンだった。
 エル・キャピタンという名前は、米墨戦争でメキシコが敗北してカリフォルニアがアメリカのものとなった後、白人として最初にヨセミテ渓谷を発見したと言われるマリポサ歩兵大隊が1851年に名付け、スペイン語で「岩の族長」を意味するそうだ。族長を名乗るにふさわしい堂々とした一枚岩は、カリフォルニア誕生の歴史を語る上でも欠かせないようだ。

押本龍一

東京品川生まれ。1982年に2年間の予定で渡米したものの、米国からさまざまな刺激を受けたこともありそのまま居座り、84年にはニューヨークに渡り広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し、現在に至る。コマーショルフォトならびにエンターテインメント関連の撮影を中心に活動を続ける傍ら、近年は旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き

http://oshimoto.net/

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